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  A-LAB Exhibition Vol.41

「たましいのかたち Soul Form
 

人間の死生観に興味を抱き、小説や古代史に着想を得て幻想的な作品を生み出してきた気鋭の画家、黒宮菜菜の新作個展を開催します。

黒宮は近年、古墳時代の遺跡から出土した「少年」と「鳥」をモチーフに取り上げ、浮遊する魂のイメージを描いてきました。今回の個展では、そこからさらに展開し、空間を往来する鳥、馬、船、さらに見えない存在を可視化する衣服の袖や領巾(ひれ)の揺れなど、古代から様々な形象に託されてきた、魂のイメージを模索します。絵具や蜜蝋、植物や石など様々なものから成る独創的な画面から、どのような「たましいのかたち」が生成されるのか。注目の最新作をぜひご覧ください。

 
  会期=2023年12月9日(土)-2024年1月28日(日)
開館時間=(平日)11:00-19:00、(土日祝)10:00-18:00
 休館日=火曜日、年末年始(12月29日〜1月3日)
 入場料=無料
  主催=尼崎市
 
 
[関連イベント]
 
・アーティストトーク
 
作品の背景や作品への思いをアーティストに聞きながら鑑賞。
定員先着20人。
 
日時: 1月21日(日) 午後2時〜3時
場所: A-LAB
申込先: amalove.a.lab@gmail.com
(イベント名、氏名、年齢、電話番号を明記ください。)
 
 
 

【出展作家プロフィール】*作品画像は参考画像です。

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黒宮 菜菜 Nana Kuromiya
 
1980 年 東京都生まれ。
2007 年 京都造形芸術大学芸術学部美術工芸学科洋画コース総合造形専攻卒業。
2009 年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。
2012 年 京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期) 課程美術専攻(絵画) 単位取得満期退学。
2015 年 京都市立芸術大学・博士( 芸術学) 学位取得。
 
【制作ステートメント】
小説、神話、古代史などから着想を得て、人間の死生観や自然観を独自の視点で描く。主に油彩作品と、染料と和紙による作品の、2種類の絵画作品を制作。特に近年の油彩作品では、支持体の縁に土手状のフレームを作り、キャンバスを器に見立て、絵具や蜜蝋、植物や石など様々なものを注ぎ込んで重層的で混沌とした画面作りを行っている。
 
【受賞歴】
2009 京都市立芸術大学修了制作展 大学院市長賞
2014 トーキョーワンダーウォール公募2014 トーキョーワンダーウォール賞
2017 京都市芸術新人賞
2019 VOCA 展2020 現代美術の展望 -新しい平面の作家たち- 佳作賞
 
【主な個展】
2022「鳥を抱いて船に乗る」、 ギャラリーノマル、 大阪
2021「ウツシキ アヲヒトクサ 黒宮菜菜展」、 京都場、 京都
2020「画廊からの発言 新世代への視点2020 黒宮菜菜展」、コバヤシ画廊、東京
2020「カタストロフの器」、ギャラリーノマル、 大阪
2019「ARKO2019 黒宮菜菜」、大原美術館 本館、岡山
2019「Boys」、FINCH ARTS、京都
2018「うつつ」、ギャラリーノマル、 大阪
2016「夜ーー朧げな際」、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都
2015「トーキョーワンダーウォール都庁2014」、東京都庁第一本庁舎3 階南側空中歩廊、東京
 
【主なグループ展】
2023「MUG +」、ギャラリーノマル、 大阪
2022「Since 1989 NOMART ーアーティスト × 工房展ー」、銀座 蔦谷書店 GINZA ATRIUM、東京
2021「「じねんのいのち」by FINCH ARTS」、CADAN 有楽町、東京
2021「Aliens 2」、 FINCH ARTS、 東京
2021「HOI-POI: Japanese Contemporary Painters」、 SPACE Four One Three、 ソウル、韓国
2020「VOCA 展2020 現代美術の展望ー新しい平面の作家たちー」、上野の森美術館、東京
2019「ここが浄土か。」、 FINCH ARTS、 京都
2019「ポートレート モード」、2kw gallery、滋賀
2019「30th - Miracle vol.5: Miracle」、 ギャラリーノマル、 大阪
2018「AllStars」、 ギャラリーノマル、 大阪
2018「京都府新鋭選抜展 2018」、 京都文化博物館、 京都
2018「第21 回 岡本太郎現代芸術賞展」、川崎市岡本太郎美術館、神奈川
2018「small painting, painting small」、 FINCH ARTS、京都
2017「のっぴきならない遊動: 黒宮菜菜/ 仁藤建人/ 若木くるみ」、京都芸術センター、京都
2016「3 人の絵」、同時代ギャラリー、京都
 
【コレクション】
大原美術館、岡山
 

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| 鳥を抱く#4 | 2023

 


 

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| ウツシキ アヲヒトクサ | 展示風景(京都場) 2021

 


 

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| 緑の穴 #1 | 2022

 


 

 
 
本展に向けたアーティストコメント
   

 魂に色や形を与えるとしたら、どのようなイメージになるだろうか。

 古代の日本人は、魂の色を青色と考えていたらしい。そして、肉体が死を迎えると、魂は鳥や馬や船になる。陸海空、遠くまで移動可能なものたちだ。また、行ったきりではなく、再び帰ってくる性質のものたちでもある。行ったり来たり、どこを?と聞かれたら困るが、この辺りをうろうろとしているものたちなのであろう。

 他にも、眼に見ることのできない魂は、衣服の袖や領巾( ひれ) の揺れによって視覚化されてきた。風が魂を運ぶというのだ。人が袖を振るうとき、風を受けて領巾が棚引くとき、布の動きを介して魂が目の前に現れるのだ。

 わたしが魂というキーワードに興味を持ち始めたのは、古墳時代の遺跡に渡り鳥(アジサシ) を抱いた少年の遺骨が埋葬されていたというテキストを読んでからだ。両親か親族が幼くして亡くなった子どもの命に想いを馳せ、渡り鳥(毎年舞い戻ってくる) に魂を託して抱かせたのではなかろうかという内容であった。鳥に魂が乗りうつる。このような考えが日本にあったことにとても驚いた。

 魂が何かしら具体的な形をとって未来永劫存続するというイメージの生成。有限の命を自明のものとしながら生きる人間にとって、この生成活動は重要な営みに当たるのだろう。分からない、見えない、では安心できないのだ。だから想像によって魂の形を補った。

これは、死を克服しようと試みた歴史ともいえるものではないだろうか。

 これまでも人間の性や死生観に興味を抱いて創作活動を続けてきたが、ここでは、古代日本の魂の形象にヒントを得て作品を作ってみたいと思っている。神話や考古学の資料などを横断しながらイメージを紡ぎ、眼に見ることのできない魂の形を模索していきたい。

 

黒宮菜